前回のコラムでお伝えしたように、病院や施設で亡くなった場合は、寝台車を手配して故人をご自宅や葬儀会館へとお連れします。
今回のコラムでは、故人をご安置してから宗教者へ連絡するまでの一般的な流れについて、仏教形式を例に挙げてご紹介します。
〝いつか〟のときのご参考になれば幸いです。
ご遺体の安置

ご遺体を安置する場所は、自宅であれば仏間や座敷などのできれば畳の部屋がよいでしょう。洋室しかない場合は、ベッドに安置することも可能です。
安置する際は敷布団を清潔な敷布(シーツ)でおおい、頭が北に向くように敷いて安置します。
※間取りなどが原因で北向きにできない場合は頭を西向きにします。
※仏壇に足を向けないようにご注意ください。
掛け布団はなるべく薄く、軽いものを用意しましょう。布団には七条袈裟(しちじょうけさ)を掛け、胸元には守り刀などを置く風習もあります(浄土真宗を除く)。また、故人が使用していた数珠があれば用意しておきます。
葬儀社によっては、安置専用の布団セットを用意しています。エテルノでは、専用の「枕、敷布(シーツ)、掛け布団」を用意しているので、自宅へ安置する際は敷布団のみ用意をお願いしています。 葬儀会館へ安置する場合は、すべて葬儀社側が用意してくれます。
[豆知識]
●七条袈裟(しちじょうけさ)
➡僧侶が身にまとう袈裟のひとつで、ご遺体に掛けることで仏門に入ったという象徴的な意味があります。葬儀会社が用意することが多いです。
●守り刀
➡諸説ありますが、葬儀においては「故人を守るための魔除け」という意味で使用します。また、地域によっては、胸元ではなく頭の上や布団の横に置く場合があります。葬儀会社が用意することが多いです。
≪ドライアイスと室温≫
安置の際は、冷却してご遺体の状態を保つ必要があるため、腹部を中心にドライアイスを当てます。また、春夏はエアコンを使用して室温を低めに保つようにし、冬は暖房の使用を控えるようにしましょう。
※ドライアイスは直接、肌に当ててしまうと凍傷になってしまうので綿などで包んでから使用します。

どうして北枕(きたまくら)に安置するの?
お釈迦様が入滅(死亡)されたとき、右脇を下にして横たわり、頭を北に、お顔を西に向けていたことに由来するともいわれます。間取りなどの都合で頭を北向き、または西向きにできない場合は、向かって右側に頭がくるように寝かせるのが一般的です。
枕飾りについて

安置をした後は、ご遺体の側に枕飾りを設営します。仏式では三具足(みつぐそく)と呼ばれる「花立て・香炉・燭台」をお飾りしますが、宗派や地域によっては、一膳飯(いちぜんめし)やお団子もお供えします。
その後は、ロウソクとお線香の火を絶やさないようにお守りするのが慣例です。火を絶やさない理由は諸説ありますが、故人が迷うことなくあの世へたどり着けるように、ロウソクの灯りが足元を照らし、線香の煙はその方向をしめす道標になるためともいわれています。
ただし、看病疲れのある場合は睡眠をとることを優先しましょう。また、近年は火事の危険性から火を使わない電池やコンセント式の電気ロウソクを状況に応じて併用することが一般的です。
≪神棚封じと仏壇≫
神棚が自宅にある場合は、神棚の扉を閉め、半紙などの白い紙をはって、神棚封じをします。封じる際ですが画びょうは使わずに、テープでとめるようにしましょう。神棚封じの期間は忌明け(四九日)までです。
神棚封じの目的は、死の穢れ(けがれ)が神棚という神聖な場所に入り込まないようにするためのもので、仏教ではなく神道の考えに由来します。神棚封じを行う場合は遺族ではなく、喪中(1周忌までの期間)ではない第三者が行なうことが一般的ですので、友人や葬儀社のスタッフなどにお願いすると良いでしょう。
また、仏壇の扉について開けておくべきか閉めるべきか、悩まれる方もいらっしゃると思いますが、基本的に閉める必要はありません。仏壇の扉を閉めたほうが良いという考えは、死を穢れと考える神道の神棚封じに由来するという説があります。仏教としての明確な決まりがあるわけではなく、風習の意味合いが強いものです。
とはいえ、色々な考え方がありますので、気にされる場合は菩提寺(ぼだいじ)に相談すると良いでしょう。

一膳飯(いちぜんめし)ってなに?
仏教習俗の一つに、人は亡くなるといったん善光寺などへお参りに行くという言い伝えがあります。 一膳飯はそのときのお弁当などとも考えられてきました。
そのため、早く作らないと成仏するのが遅れるとも言われています。一合のお米を炊き、それを故人の使っていた茶わんに一粒も残さないように山盛りにし、真ん中に箸をつきたてます。昔は白米がごちそうだったことから、故人への最後のごちそうだと考えられます。
僧侶など宗教者への連絡

檀那寺(だんなでら)がある場合は、そのお寺に連絡し、枕経(まくらきょう)をあげていただくよう依頼します。
檀那寺が遠方にある場合でも、まずは、檀那寺に連絡して相談をしましょう。お付き合いのある宗教者がいない場合は、葬儀社に相談をすると良いでしょう。
エテルノではお付き合いのある宗教者がない場合は、宗教宗派にあった宗教者をご紹介します。
※檀那寺…檀家となっているお寺。菩提寺ともいう。

枕経(まくらきょう)ってなに?
僧侶をお迎えし、ご臨終に際して最初に勤めていただくお経を「枕経」といいます。通常、枕経は長くても30分程度です。服装は喪服ではなく、平服のままで構いませんので家族そろって勤めましょう。
僧侶との打ち合わせ
家族の故人への想いを僧侶に伝えます。また、通夜・葬儀・初七日法要などの日程や僧侶の人数、送迎などの打ち合わせも行います。
生前に戒名(法名)を授かっていない場合は、戒名(法名)をつけていただくよう依頼します。
このあたりの打ち合わせについては、葬儀社が代わりに対応してくれるケースもあります。
僧侶にお渡しするお布施ですが、金額について決まった相場というものはありません。
お付き合いの深さや地域性なども関係するので、心づもりを話し、お願いする僧侶に直接たずねてみるとよいでしょう。
●後悔しないお葬式を行うためには「何を準備すればよいのか?」「どのようなことに注意すればよいのか?」疑問に感じることはエテルノまでご相談ください。
エテルノでは終活やお葬式に関するさまざまな疑問にお答えいたします。 お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。