お葬式の流れ

(仏式の場合)

お葬式の文化は時代の流れによって変化してきました。「一日葬」「火葬式(直葬)」といった、小規模でシンプルな形式も増えてきています。
お葬式は亡くなった人のためでもありますが、遺された人が自身の感情と向き合うための大切な時間でもあります。
後悔のないお見送りをするためにも、お葬式の形式について、ご家族での話し合いや葬儀社への事前相談をおすすめいたします。

お葬式の流れイメージ01
お葬式の流れイメージ02
1

ご臨終に際して

ご臨終に際してのイメージ

末期の水と親族への連絡

医師から臨終を告げられたら、近親者などにより末期の水を取ります。連絡は、まず、家族、その他故人様と親しかった人へ。あらかじめリストを作っておくと、連絡もれをおこすなどのトラブルも防げます。そのほかの親戚や関係者(友人、職場の方など)へは、通夜・葬儀の日程が決まってから連絡しましょう。病院で亡くなった場合、葬儀社に連絡して寝台車を手配します。病院によっては、葬儀社もしくは寝台車業者を指定しているところがありますが、指定業者が葬儀社であっても、そこへ葬儀を依頼しなければと考える必要はありません。希望する葬儀社名を、はっきり伝えることが大切です。

死亡診断書の受け取り

役所へ死亡届を出し、火葬許可を受けるには、死亡診断書※(死体検案書※)が必要です。病院で亡くなった場合は、病院を出るまでに死亡診断書を請求してください。自宅で亡くなった場合は、かかりつけの医師に診断をお願いし、死亡診断書を作成してもらいます。また、死の状況によっては、警察による検視が必要になるため、その場合は警察に連絡します。警察医による死体検案書の発行に時間がかかることもあり、葬儀日程がすぐに決められない場合もあります。

  • 死亡診断書…医師が亡くなった人の死因や時間を記した書類。
  • 死体検案書…死亡診断書に同じ。突然死・事故死など、警察の検視が入った場合に警察医が発行する書類。
2

ご遺体の安置

ご遺体の安置のイメージ

ご遺体の安置

ご遺体を安置する場所は、自宅であれば仏間や座敷などのできれば畳の部屋がよいでしょう。布団を清潔な敷布でおおい、頭が北に向くように布団を敷き(北向きにできない場合は西向きに)、ご遺体を安置します。掛け布団はなるべく薄く、軽いものを用意してください。布団には七条袈裟(けさ)を掛け、胸元には守り刀などを置く習慣もあります(浄土真宗を除く)。故人様が使用していた数珠があれば用意しておきます。

枕飾り

ご遺体の側に枕飾りを設営します。仏式では三具足(花立て・香炉・燭台)をお飾りしますが、宗派や地域によっては、一膳飯やお団子もお供えします。その後は、ローソクとお線香の火を絶やさないようにお守りするのが慣例です。ただし、看病疲れのある場合は睡眠をとることを優先しましょう。

神棚封じ

神棚の扉を閉め、白い紙をはって、神棚封じをします。また仏壇は封じる必要はありません。

3

宗教者への連絡

宗教者への連絡のイメージ

僧侶など宗教者への連絡

檀那寺※がある場合は、そのお寺に連絡し、枕経をあげていただくよう依頼します。檀那寺が遠方にある場合でも、まずは、檀那寺に連絡して相談しましょう。

  • 檀那寺…檀家となっているお寺。菩提寺ともいう。

枕経

僧侶をお迎えし、ご臨終に際して最初に勤められるお経である「枕経」をあげていただきます。通常、枕経は長くて30分程度です。平服のままで構いませんので家族そろって勤めましょう。

僧侶との打ち合わせ

枕経の後、僧侶に家族の故人様への想いを聞いてもらいます。通夜・葬儀・初七日法要などの日程や僧侶の人数、送迎などの打ち合わせも行います。生前に戒名(法名)を授かっていない場合は、戒名(法名)をつけていただくよう依頼します。お布施の金額は、決まっていません。心づもりを話し、お願いする僧侶に直接たずねてみるとよいでしょう。

4

お葬式の打合せ

お葬式の打合せイメージ

喪主などの決定

まず、遺族の代表となる喪主を決めます。故人様が指定した人がいれば、その人が喪主を務めます。その他、連絡係などの役割を決めます。高齢の人に負担がかからないよう、若い人が分担するとよいでしょう。

葬儀スケジュール、式場・祭壇の決定

日時と場所、規模を決めます。日時と場所は、僧侶や集まる人の都合なども考慮して決定します。その時に、近親者中心に行う小規模葬(家族葬)とするのか、一般に連絡し弔問を受けるのかという、“規模”も決定する必要があります。参列者の人数や、必要な会場の広さなどを考慮して、式場や祭壇を選定します。

注:故人様の人間関係を家族も充分に理解しているとは限りません。実例としては、参列者を「30人くらい」と予測したのに、実際は100人を超えたということもあるので、慎重に考えましょう。

ほかにも、以下のような内容を決めなければいけません。

  • 霊柩車・タクシーなどの車両
  • 遺影写真
  • 通夜・葬儀の供養品
  • 通夜・葬儀後の会食の料理
  • 供花・供物
  • 式服・小物
5

お通夜に向けて

関係者への連絡

通夜と葬儀・告別式の日時・場所を、親戚や友人、勤務先、近隣へ連絡します。また、お手伝いをお願いする場合は、この時に手配しておきます。

必要な現金の用意

通夜、葬儀・告別式の2日間には、お布施や火葬料金などの現金が必要になります。火葬料金は自治体によって異なります。また、僧侶にお布施を渡すタイミングは、基本的には葬儀が終わった後、喪主が一両日中にご挨拶を兼ねてお寺まで持参するものとされています。最近では、葬儀・告別式の開式前に渡す場合も多いようです。

死亡届の作成及び届け出

死亡届は、故人様の戸籍抹消や、火葬許可証の発行申請手続きのために必要な届け出。死亡届に、故人様の本籍地などを記入して作成します。認め印を持参し、市区町村の役所に届け出ます。

6

湯灌・納棺

湯灌・納棺のイメージ

湯灌(ゆかん)の儀式

納棺の前に、ご遺体を浄めるため「湯灌」を行うことがあります。最近では、ご遺体を衛生的に保全するための「エンバーミング」※という処置を行う場合もあります。

  • エンバーミング
    腐敗を防ぐために防腐剤や消毒液を注入する、遺体衛生保全処置のこと。滅菌され感染症が予防できます。処置に費用と時間はかかりますが、日程を気にせず、故人様とゆっくりお別れすることができます。

湯灌の手順

1.逆さ水

逆さ水とは、温湯を作るとき、通常とは逆に、たらいに先に水を入れ、後から湯を入れることをいいます。しかし、近年は、お湯は雑菌を増殖させるので、水を使うケースが多くなっています。

2.洗浄

シャンプーし、身体全体を丁寧に洗います。顔そり、爪切りなども行います。

3.身支度

着替えをし身支度を整え、化粧をして安置します。また、故人様が生前好きだった洋服や着物などに着せ替えることもできます(ご遺体の状況によりできない場合があります)。

ご納棺

遺族や親戚の立ち会いのもと、故人様をお棺に納める「納棺」を行います。この時までに、故人様の遺品や愛用品など、副葬品(一緒にお棺に納めるもの)を用意してください。ただし、燃えないものや、環境汚染を防ぐために規制されているものは棺の中に入れられません。金属やガラス、プラスチック類、分厚い辞書など燃えにくいものなどは避ける必要があります。副葬品については、葬儀社に相談してみましょう。
一番大切なことは、故人様と充分にお別れをすること。故人様に向けた手紙などを棺に納めることも、心のこもったお別れとなるでしょう。

7

お通夜

お通夜のイメージ

式進行の打ち合わせ、祭壇及び式場の設営

通夜と葬儀・告別式の進行・内容について、葬儀社と打ち合わせをします。

お通夜開式前の確認事項

1.答礼に立つ人の選出

一般焼香時に、焼香を終えた弔問客へのお礼と挨拶をする役目としての遺族代表を、通常は2~3人選出します。

2.供花・供物名札の順番確認

一般的には、祭壇に近いほうが上手になり、故人様に近い関係から順に並べます。親族と来賓のどちらを先に並べるかは、遺族の判断にまかせます。

3.喪主(遺族代表)挨拶の確認

式の終了後に行います。

  • 地域性や遺族の考え方により、供花の並べ方を順不同としたり、遺族代表挨拶が割愛される場合もあります。

僧侶が到着したら、控室に案内し、お茶などで接待をします。

8

お通夜の後

お通夜の後のイメージ

通夜ぶるまいでの接待

通夜ぶるまいとは、弔問への感謝の気持ちとして、食事やお酒でもてなすこと。地域によっては、弔問客全員にふるまう場合もありますが、京阪神では、親族だけで行うのが一般的です。

お通夜番

線香とローソクの火をなるべく絶やさないように、近親者が見守ります。お通夜はご遺体との最後のお別れですから、心残りのないよう、充分にお別れしましょう。高齢の方の負担を軽くするためにも、お通夜番をするのは、遺族でも若い人の役割とするとよいでしょう。

9

葬儀・告別式に向けて

葬儀・告別式の開式前の確認事項

  • 親族焼香順位、留め焼香、代表焼香順位の確認
  • 読み上げる名前を読み方まで確認します。代表焼香順位は、社名、肩書もあわせて確認します。

  • 弔電の読み上げ順位の確認
  • 読み上げる差出人の名前を、読み方まで確認します。

  • 弔辞をお願いする人の確認
  • 出棺時の役割の確認
  • 位牌、写真、骨箱(地域による)、お柩、花束を持つ人の確認。

  • 火葬場への同行者、葬列の車への乗車メンバーの確認
  • 火葬場への同行者を確認し、タクシーなどの台数および、乗車人員の配置を決めます。僧侶が同行する場合は、そのことも考慮します。

  • 供花・供物の名札の順番確認
  • 最終的な供花・供物の順番。

  • 地域性や遺族の考え方により、焼香の際の氏名や弔電の読み上げは省略される場合があります。必ずしも、しなければいけないものではありません。

焼香順位

葬儀・告別式での焼香は、順位を設け一人ずつ読み上げることがあります。しかし、最近では、焼香順位にこだわらず、通夜と同じように、座席順で焼香を行うことが増えてきました。

  • 親族焼香順位
  • 一般焼香時に、焼香を終えた弔問客へのお礼と挨拶をする役目としての遺族代表を、通常は2~3人選出します。

  • 留め焼香の意味と選任
  • 留め焼香は、関西特有の習慣です。読み上げ順位最後の人の焼香を、「留め焼香」といいます。「これで不幸を“止める”」という意味のほか、後で順位でもめないために考えられた役目であるともいわれています。留め焼香として、故人様のきょうだいまたは親族の年長者が選ばれる場合が多いようです。

  • 代表焼香順位の考え方
  • 故人様が生前関係した、地域や会社など来賓に焼香してもらいます。

10

葬儀・告別式

葬儀・告別式のイメージ

焼香順位が決まったら

順位が決まれば、式当日に参列する遺族や親戚、各種団体代表、来賓の名前を書き出し、「ご焼香順位帳」を作成しておきます。当日は、それに基づき、席次を決めます。式中は、決定した順番で名前を読み上げます。

弔電を紹介する場合の注意点

弔電は、式中に読み上げたいもののうち、全文を紹介するものと名前のみを紹介するものとに分け、それぞれに順番をつけておきます。多くても30通程度の紹介とし、全文を読み上げるのは3~5通以内に。選択に困ったら、読み上げをしない、または、1通のみ代表して紹介するという方法もあります。また、参列者をさしおいて弔電を紹介するのはおかしいという考えもありますので、事前によく考えましょう。

開式前に式進行の最終確認

式進行と内容について、葬儀社と最終の打ち合わせを行います。その時、ご焼香順位帳と紹介する弔電を預けます。遺族・親戚は、開式前には式場に集まり、焼香順位がある場合は、順位に従い着席します。僧侶が到着したら控室に案内し、お茶などで接待をします。開式前にお布施を渡す場合は、この時に直接、遺族の代表者より渡します。

葬儀・告別式

葬儀・告別式の時間は、通常1時間程度。式の進行に関しては、地域や宗旨により違いがあります。一般的な例としては、①僧侶入場②読経・引導(表白)③弔辞④弔電紹介⑤読経⑥親族焼香⑦一般焼香⑧僧侶退場⑨喪主(遺族代表)挨拶⑩最後のお別れ⑪出棺となります。

  • ③と④は省略される場合があります。
    また、地域により、読経が始まるとすぐに一般焼香が始まり、読経以下の式次第と並行して進行する場合があります。

最後のお別れ(お別れの儀)

故人様とのお別れは、近親者がご遺体と対面し、お花を供えて行います。火葬場によってはお棺の蓋を開けることができない所もありますので、その場合はこの場が最後のお別れになります。

出棺

僧侶の先導の後に喪主が位牌を持ち、次は、遺影写真を持つ人が続きます。お棺は6~8人で運びます。火葬場へは、霊柩車・タクシー・マイクロバスの順で出発します。

  • この出棺の順序は一般的なもので、特別な決め事ではありません。地域により、遺影写真の後にお骨箱を持つ人が続く場合もあります。
11

葬儀・告別式の後

葬儀・告別式の後のイメージ

火葬場にて

火葬場では、僧侶の読経のもと焼香を行います。お骨上げまでの時間は火葬場により違います。1~3時間程度です。火葬場により、お骨上げまで待合室で過ごすか、一旦会館に戻って過ごすかは異なります。

葬儀後の会食(仕上げ)

葬儀でお世話になった人や友人、親戚などをねぎらう意味で、会食をしてもてなします。関西では、火葬後またはお骨上げまでの時間を利用して「仕上げ」として行う場合もあります。

骨上げ(拾骨、収骨)

足元から順に、頭までのお骨を骨壷に入れます。のど仏と呼ばれる部位のお骨は、丁寧に扱われます。地域により、別の骨壷を用意する場合もあります。最後に、埋葬の時に必要となる、火葬証明の印を押した火葬許可証、分骨する場合にはその数だけ分骨証明(火葬証明書)を受け取ります。

初七日法要

最近では、遺族・親戚が遠く離れていることが多いため、骨上げ後のその日のうちに、初七日法要を行うことが多くなっています。法要時間は30分程度です。地域により、初七日法要の後、会食を行う場合もあります。

お花のイメージ
トップお葬式の流れ