
・弔辞は、故人に贈るお別れの言葉です。
近年増えている家族葬や火葬式といった小規模なお葬式では、弔辞を聞いたり読んだりする機会はあまりありませんが、社葬など規模の大きなお葬式では、弔辞を依頼される可能性があります。
ご遺族は、故人との関係を考えて、是非にと思う人に依頼するものなので、依頼された場合はよほどのことがない限り、引き受けたいものです。
そこで今回は、弔辞を依頼された際に「何をどうすればよいのだろう…」と困らないためにも「弔辞の書き方」や「奉読の作法」についてご紹介します。
〝いつか〟のときのご参考になれば幸いです。
はじめに
・弔辞を依頼された際は、事前に持ち時間を確認し、その時間内に終わるようにします。
一般的には、3分(800字程度)くらいが適当といわれています。
当日は、事前に打ち合わせ等があるので、遅くとも開式の30分前には到着するようにしましょう。葬儀会館等による違いもあるので、動作や手順について最終確認し、マイクの高さを調整しておくと安心です。
弔辞の書き方・折り方

・大判の奉書紙か巻紙に、薄めの墨で書くのが正式です。市販の弔辞用の用紙を利用すると便利です。
折り方は、「巻き紙」にするか「ジャバラ折り」にします。上包みは、同じ奉書紙を使用します。奉書を幅半分に切ったものを左前3つ折りにします。
近年は便箋にペンで書いたり、パソコンで作成し、それを白封筒に入れるという簡略方式も多くみられます。表書きは「弔辞」または「お別れの言葉」と書きます。
弔辞の内容・文例
・故人の人柄や功績をたたえ、追慕と感謝の気持ち、残された者の決意などを述べ、最後に別れの言葉で結ぶのが一般的な形式です。
文章はいたずらに美辞麗句を並べた形式的なものにならないよう、わざとらしいほめ言葉は避けます。印象的なエピソードは1つか2つにしぼります。
自身と故人との付き合いを思い出しながら、ふさわしい内容を考えましょう。
また、形式にとらわれるよりも、自然な自分らしい文章表現を心がけましょう。
①故人への呼びかけの言葉で始める。
【文例】謹んで○○さんに対し、一言追悼の言葉を述べさせていただきます。
※キリスト教のプロテスタントでは、弔辞は遺族に向かってのものとされ、故人に呼びかけはしません。
②故人の死の悲しみを述べる。
【文例】かけがえのない友人である○○さんを失い、悲しみに言葉もありません。
【文例】ご家族の手厚い看護の甲斐もなく、ご逝去されましたことは、まことに残念です。
③故人と自分との関係や思い出を語り、親しい者としての惜別の情を述べる。
【文例】つい先日お目にかかった時は、お元気でいらしたのに、突然の訃報、驚いております。
【文例】浮かんでくるのは、会社でのお元気な姿ばかりです。
④故人の経歴、人柄、功績などを称えるエピソードを語る。
【文例】仕事熱心で研究熱心、それでいて人情味あふれる人柄はどれだけの社員が手本にしていたことでしょう。
【文例】○○さんの気さくで飾らないお人柄は、私たちに親しみと信頼感を与えてくださいました。
⑤結びの言葉を述べる。
【文例】○○さん、どうぞ安らかにと願うばかりです。
【文例】深く哀悼の意を表し、弔辞とさせていただきます。
⑥日付、故人との関係、自分の名前を述べる。
【文例】令和○年○月○日 友人代表 阪急太郎
【文例】令和○年○月○日 ○○株式会社取締役社長 阪急太郎
奉読の作法

①司会者に呼ばれたら、弔辞を手に霊前に進み、まず僧侶、遺族席に一礼。
②遺影に深く礼をして両手で弔辞の包みを開く。
③丁寧に包みから取り出す。
④上包みをたたみ、側卓に置く。側卓がなければ懐に入れるか左手に持つ。
⑤弔文は左手に持ち弔文に右手を添えて開く。
⑥両手で持ち、胸の高さになるようにし、ゆっくりと読み上げる。
※常に故人に捧げているということを忘れずに、心を込めて丁寧に読みましょう。
⑦読み終わったら、もとのように上包みに戻し、表書きを霊前に向け卓上に置く。
⑧遺影に深く、ゆっくりした動作で礼をしたあと僧侶、遺族席に一礼して席に戻る。
※捧げた弔辞は、ご遺族が保管するのが通例です(ご遺族の希望により、棺に納める場合もあります)。
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